「池田さんって敬語を使えるんだ」と驚かれた話

2014年の夏から2016年の年末まで福島県南相馬市で除染のアルバイトをしました。

この除染に行ったときの想い出を通してつらつらと思うことを書いていきたいと思います。

ということで除染の出稼ぎの想い出の1回目です。

 

さて、『お役所仕事』というといい加減な仕事ぶりを揶揄するときに使う言葉ですが、

除染の仕事の作業員の募集がまさにお役所仕事でした。

民間企業なら作業内容に合わせて最低限これぐらいの能力の人という線引きをするものですが、

除染の作業員の募集ではこういう線引きがなくてとにかく人数を集めるとなったら人数しか考えないというお役所仕事でした。

そういう状況でしたので建築とか土木の仕事で能力不足で解雇された人とか、元ヤクザで普通の会社では雇って貰えない人とかも除染の作業員として働いていました。

 

除染の作業員は無料の宿舎が用意されていたので、私も除染の仕事をしている間はそこに泊まっていたのですが、

週末には必ず自宅に帰って自治会の仕事をしていた関係で同じ自治会の人とよく電話していました。

 

ここまでが前置きで、これから今回の話題に入ります。

 

あるとき、いつものように宿舎から地元の人に電話していたら近くで聞いていた人に「池田さんって敬語を使えるんだ」と驚かれたことがあって、そのときに私が話していたのは敬語といっても尊敬語じゃなくて丁寧語だし普通の言葉遣いだからなんで驚いているのか分からなくて

「いや、敬語って学校で習うでしょ?」と聞いたら「習わなかった」という答が返ってきました。

 

よくよく話を聞いたら子ども時代はちょっとやんちゃだったそうで、通っていた学校は普通の学校ではなくて少年院の中の学校だったそうです。

 

日本で生まれて日本で育ったら敬語を使えるのは当たり前だと思うのが普通でしょう。

私も敬語を使えるのは当たり前だと思っていましたので「敬語を習わなかった」という人に出会って、私の常識がひっくり返されました。

 

高校受験、大学受験、入社試験で学習能力に応じた選別をされて、気がついたら周りは同じような能力の人ばかりという集団の中に入ってしまっているので、

うっかりすると『いろいろな人がいる』ということを忘れて偏った世界観に囚われてしまいます。

 

「池田さんって敬語を使えるんだ」は『いろいろな人がいる』をあらためて思い起こさせてもらえた出来事でした。